任天堂 『VSマッハライダー』 の修理

『VSマッハライダー』のROMとPPUを買ったので、『VSクルクルランド』の反対側に取り付けました。反対側の『VSクルクルランド』は動いているので大丈夫だろうと思いスイッチオン。

同期が取れていません。PPUに触ると同期が取れたのでソケット不良でしょう。ソケット不良問題は3枚一気に直したVS基板、そして少し前に『VS忍者じゃじゃ丸くん』でも発生しました。仮に新品のソケットへと交換しても、PPUを何度も抜き差しするとソケットがガバガバになるというのは教訓でした。

立ち上げると画面がびっくり!!僕のVSシステムもまっ赤っか!ということで映像面に問題がありました。元の基板はeBayで買ったものなのでこんな物でしょう。

上が『VSマッハライダー』のR信号、下が『VSクルクルランド』のR信号です。信号の出力先を見ると2PのCD4066BEでしたのでこのICに原因があるはずです。もう1枚持っているVS基板から拝借したら正常な信号が出ました。感動もつかの間立ち上げて一定時間が経つと色がおかしくなったので、まだ別のICに問題があると思われます。

RとGの波形は問題無かったですが、Bの信号が明らかに異常です。

4PのCD4066BEも手元のVS基板と交換しました。

色味が正常に出ました。主人公のマッハライダー(多分)も色鮮やかです。

『VSマッハライダー』はステージクリアをする度に少しずつ女性の絵が出るのが大きな特徴です。コンテニューでその場復活するので、お金さえつぎ込めば最後まで見られるのは脱衣麻雀と同じ方式。

左手にナイフを持っているのが世紀末感を出ています。ここまで遊んでも色味に問題が出なかったので修理完了でしょう。CD4066BEは注文したので届いたら入れ替えます。

新品が届いたので交換しました。これでようやく修理完了です。

【作業内容】
・CD4066BEx2交換

ジャレコ 『VS忍者じゃじゃ丸くん』 の修理

『VSじゃじゃ丸くん』のROMセットとVSマザーを預かったので組み合わせて見ました。起動しなかったので、ROMソケットx12とCPUとPPUのソケットを交換しました。以前に直したVSシステムと同じ対処法です。

立ち上がりましたがスコア表記が「SCORA」となっています。VSシステムは2A/2Bと8A/8BがキャラROMなのでそのSRAMが怪しいと判断しました。

ツールでROMの中身を見てみましたら確かにキャラROMでした。

予想通りSRAMが死んでいましたので新品へと交換しました。

スコア部分の表示が直りました。

もう片方の『じゃじゃ丸くん』はタイトル画面にガマガエルがいないだけでなく途中で止まります。PPUを入れ替えたら症状が転移したのでPPU不良でしょう。

海外で出ているPPUチェンジャーと『VSベースボール』のPPUを組み込んでみます。チェンジャーは8連DIPタイプなら問題無いですが、3連DIPx2のタイプだと2C04から2C05にするときジャンパが必要です。

ちゃんとガマガエルが表示されゲームも遊べました。PPUが余っているということもあまりないと思いますが、そういった状況でしたらPPUチェンジャーを持っておくと良いのかもしれません。

【作業内容】
・ICソケット交換多数
・SRAM交換
・PPUチェンジャー組み込み

ナムコ 『マッピー』 (バリーミッドウェイ版) の修理

未チェックの海外版『マッピー』を預かりました。今までの経験上はこの小サイズナムコ基板は壊れにくい印象です。豚毛のハケで埃を払ってからスイッチオン。

この画面で止まります。止まるということはCPUボードが原因のはずですが、キャラもおかしいのでビデオボードにも故障があるように見られます。幸いにもSRAMは全てソケット化されているので、チェック機で確認していきましょう。

ビデオボードのTMM2016(6116)が3個も死んでいましたので、手元の6116へと交換しました。CPUボードのSRAMは全て問題無い模様です。

起動しないということでCPUのリセット信号(37)を見てみます。6809基板のリセット信号を見たのは起動しない『タイムパイロット’84』以来です。メイン側はHIGHになっていましたが、サウンドCPU側がLOWでした。ここがまずおかしいので調べてみましょう。

回路図上ではSUBRESETとある信号は2Mの74LS259(10)から出ています。そもそもこの259の出力が全てLOWですが交換しても変わりませんでした。動作品の基板と見比べると(14)のLTWRという入力信号がおかしいので、これがLOW出力の原因でしょう。

2M(10)は1MのPAL”SPC-5″(14)に繋がっています。この入力波形を調べると(5)(7)(8)(9)(11)に異常が見られます。(5)は2BのPAL”SPC-6″へ繋がり、残りは1Lの6809EのR/W、SA15、SA14、SA13へと繋がっています。また1Kの2764(3)(4)の波形も浮いていたので、CPUが悪さをしている可能性が高まってきましたため交換しました。

次は”SPC-6″の入力を見ていきます。

(5)(6)(7)(8)(9)(11)の波形が浮いていました。波形の出本を見てみると左からメインCPUのMA11(19)、MA12(28)、R/W(32)、MA15(23)、MA14(22)、MA13(21)に繋がっています。どうやらメインCPUにも問題があるようなので、手元の新品と交換しました。

直って欲しいという期待を込めてスイッチオン。

立ち上がりましたが、色が少しくすんでいるのが気になります。ニャームコがGOROとなっているのは海外版だからです。そしてゲームを開始すると音が出ていません。オーディオプローブ片手に早速見てみましょう。

まずボリュームの回転部分がもげていました。1KΩとあるので、手元の普通のボリュームへと交換しました。そしてボリュームを付けて最大に回しても音が小さかったので、これは流石にコンデンサでしょう。

オーディオプローブで当たってみるとC29は音が出るのにC30は音が出ていません。47μFのチューブラ型はなかったので、ひとまず手元のコンデンサへ交換しました。音声はしっかり出るようになり、ついでに色のにじみも改善しました。

ベルが出る面まで遊びましたが特に異常は見られませんでした。これで修理完了とします。

【作業内容】
・2016交換x3
・6809E交換x2
・ボリューム交換
・コンデンサ交換

任天堂 『ドンキーコングJR.』 の修理

画面同期が乱れる『ドンキーコングJR.』を預かりました。『ポパイ』を修理した時に作ったJAMMA変換ハーネスがあるので絵出ししてみましょう。

映像が大変なことになっています。こういう時は基板にあるボリュームがダメになっている場合が多いはずです。

押えると同期が安定しました。

ボリューム不良なので『スペースインベーダー パートII』の時に買った50kΩのボリュームを付けました。

ボリュームの向いている方向が逆なので、その後オリジナルに近いボリュームへと交換しました。複数買ったので(壊れないに超したことはありませんが)また任天堂基板のボリュームが破損しても大丈夫です。

同期問題が解決したら次は立ち上がらない問題です。

メインCPU近くにある6Aの74LS245の波形が怪しいですが、交換しても特に変わりませんでした。

起動に関するということでZ80の片側ソケットを交換しましたがこちらも変化はありませんでした。

メインプログラムがコケているのは間違いないので、おまじないのようにプログラムROMのソケットを交換しましたがこちらも変化はありませんでした。

6Aの74LS245の怪しい波形はそのまま下のビデオボード5Sの74LS245と1Sの74LS245に行くので、上ボードのことは一旦忘れてこっちを見てみることにします。

2Rの2114の出力がHIGH固定になっていました。流石にこれはおかしいと思い、取り外してチェックするとBADと出ました。

これで何かが変わっていることを信じて立ち上げると真っ白な画面へと遷移しました。

上ボードのSRAMx6は波形を出しているように見えるので、回路図を片手に色々とICをチェックするもことごとく変化がありません。

「立ち上がらないがCPUとプログラムROMは無罪」となると、ここはやはりSRAMを疑うべきではないかと判断しました。全て直付けですがなるべく丁寧に取り外していきます。

早速4Aの2114がBADと出ました。新品に交換しましょう。

この状況で立ち上げると起動画面らしい絵が出てきました。まだ正常に起動しないということは、他の2114不良の可能性が出てきます。ピギーバックをしたら3Cのみ変化が激しいので取り外してみます。

こちらもBADがでました。2114を新品へと交換します。これで直って欲しいという期待を込めてスイッチオン。

立ち上がりました。色が反転しているのはハーネスに反転回路を付けているためです。

この基板用に新規にJAMMA変換ハーネスを作成しました。基板にアンプが付いているのでシンプルな作りです。

問題無く色も音も出ています。

1周クリアまで遊びましたが問題ありませんでした。ファミコン版と比べるとOPデモや中間デモが入っているので豪華に感じられます。それと4面クリア後にマリオが生きていることも驚きです。マリオが死んだら2周目はありえないので、ドンキーコングに蹴飛ばされて逃げる演出は正しいですね。

【作業内容】
・ボリューム(50kΩ)交換
・2114×3交換
・JAMMA変換ハーネス作成

ナムコ 『パックマン』 の簡易DC改造と修理

動いていたけど変な画面が出て動かなくなったという純正の『パックマン』を預かりました。この基板はAC駆動のため、動作チェック用に『タンクバタリアン』と同様DC改造をする必要があります。

北米版の回路図を見るとE/5からR53を通って+5Vになっています。このR53をジャンパさせることでE/5に+5Vを入れればヨシでしょう。12Vの方はアンプしか使っていないはずなので、そのままでも大丈夫なはずです。

ジャンパさせました。ACに戻す必要を考えると、このくらい簡単な改造の方が良いかと思います。

起動すると確かにチラチラとした白い絵が出て立ち上がりません。CPUは問題なさそうなので、ROMが正常かどうか調べるついでに脚を磨いて戻していきます。

ROMは正常でした。そして5FのROMを磨いて戻したところ立ち上がりました。ソケット不良の可能性も否定できないので、とりあえず新品に交換してみます。

以前は「動いていたけど時間を置いたらおかしくなっていた」ということで、今回は長めに時間を置いて様子を見てみましょう。

約1時間半経ったらまた同じ画面が出ました。何ということでしょう。今回は5FのROMを抜き差ししても変化がありません。

PROMとカスタムの脚を全て磨いて戻したところ立ち上がりました。ここからまた様子を見てみます。

2時間ほど放置していたらまた同じ画面が出ています。これはもう接触の問題ではないので、オシロ片手に波形を見ていきましょう。

4Kから4Rに位置するプログラム側のSRAM(2114)の波形を見てみるとDATA部分が変です。

この信号は4Hの8304Bから来ています。8304Bの信号を見ると明らかに変です。6Bのカスタムと7Lの74LS02(1)からも信号が来ていますが、ここは問題無かったのでこのICが怪しいのではないでしょうか。

8304Bはなかったので新品の74LS245に交換しました。

願う気持ちでスイッチオン。また同じ画面が出るのかどうか様子を見るばかりです。

8時間通電したままでもリセットすることがなかったのでこれで修理完了とします。再現まで時間が掛かるので、74LS245交換で解決して良かったです。

【作業内容】
・MASK ROM、PROM、カスタムの脚磨き
・ソケット交換
・74LS245交換

ナムコ 『ワープ&ワープ』(ロッコーラ版) のDC改造とJAMMA変換ハーネス作成

未チェックの海外版『ワープ&ワープ』を預かりました。動作チェックのためにDC改造をしていきましょう。

今回も元のパーツを生かす形で改造したいと思います。回路図を見た結果、C/3とD/4から+5Vのところにジャンパ、W/19から12Vへ、X/20から-5Vへとジャンパすることにしました。

こうなりました。端の方にある8080は5V,-5V.12Vを使用するCPUです。(11)に-5V、(20)に+5V、(28)に12Vが来ているかテスターで調べてください。

こちらがマニュアルを元に作成した配線図です。2P部分は未チェックですが、多分大丈夫なはずです。SP-はGNDから取ってください。

JAMMA変換ハーネスを作成しました。早速通電してみましょう。

音が出て絵も出ますが、この画面のまま進みません。

原因はこの保護回路でした。取り外しても動くので、取り外してしまいましょう。

問題無く立ち上がりました。発色が薄いのでモニター側の調整が必須です。

入力と出力に問題無く遊ぶことができました。ファイターがスプライトでないところから来る不自由さと8方向レバーで上手く先まで進めませんでした。

余談ですが2023年現在『ワープ&ワープ』の移植を遊ぶとなると選択肢が非常に狭いです。ソードm5版はまず本体の入手からして大変でコントローラも使いづらいので、MSX1版がいいのかもしれません。アーケード版よりも動作が軽快です。

【作業内容】
・DC改造
・JAMMA変換ハーネス作成
・保護回路(無くても動く)取り外し

ナムコ 『ラリーX』 の再修理

先日直した『ラリーX』が壊れたとのことなのでお預かりしました。古い基板ですし、壊れることは仕方がないと思います。その時に作ったハーネスがあるので絵出ししましょう。

この画面から起動しません。CPUがある下ボードが怪しいので見てみますが、CPUのRESETは正常でROMも正常でした。

CPUのすぐ先にある2DのNVC285の波形を見ていきましょう。片っ端から見ていると、(27)VRAMの波形が浮いています。

これは入力なので出力しているICを追いかけると4Bの74LS139(7)に辿り着きました。パターンは導通しているので、IC不良により波形が浮いていると判断すべきでしょう。

外してチェックする必要も無いと判断したので、切り飛ばしてからソケット化と新品への交換を行いました。前の修理でも74LS139だったので何かあるのでしょうか。

無事に起動しました。複合的な故障じゃなくて良かったです。

5面クリアまで遊びましたが異常は見当たりませんでした。しばらく通電したままにしていましたが問題無かったのでこれで修理完了とします。

【作業内容】
・74LS139交換

コナミ 『イー・アル・カンフー』 の修理

無性に『イー・アル・カンフー』が遊びたくなり基板を引っ張り出したところ、写真の様にキャラ化けが起きていました。このまま放置してもいいことはないので直していきましょう。

スプライトに関するEPROMはD03/D04/D05/D06の4つであり、この基板ではD05とD06がソケット交換されていました。D03とD04はソケット交換されていない片側ソケットだったのでこれが原因でしょう。片側ソケットといえば任天堂とコナミの基板でよく使われており、VS基板沙羅曼蛇もソケット交換で直ったことがあります。

ソケットを交換しました。これで大丈夫だろうという願いを込めてスイッチオン。

直りました。ジャッキー主演の拳シリーズ(『蛇鶴八拳』のラストに開脚突きが出るので気になる方は観ましょう)を彷彿とさせる世界と綺麗なグラフィックが好きなのでキャラ化けを気にせず遊べるようになって嬉しいです。

【作業内容】
・ソケット交換

ナムコ 『ラリーX』 の修理

『ラリーX』の基板です。『NEWラリーX』も大分珍しい基板にはなりましたが、国内純正での初代『ラリーX』は更に珍しいのではないかと思います。

9Jと9KのICが刺さってないのが気になって回路図を見ると、2147が挿してあるとありました。この時点で手元になかったので発注します。

後日届いたので挿しました。これで部品は揃ったので立ち上げてみましょう。

映像は出ていますが立ち上がっていません。起動に関することなので、Z80のCLOCKとWAIT、RESET信号をチェックするもOK、ROMも異常なしでした。

回路図を元に見ていくと、2DのNVC285の出力の波形が変です。カスタム不良の可能性が急浮上しますが、手元の『NEWラリーX』のコピー基板に挿してみます。

波形も正常に出ていて動作しているので、カスタムは無罪です。よかった。そうなるとカスタムの出力の先で変な信号が出ていて、引っ張られているのが原因になるはずです。回路図片手に調べてみましょう。

カスタムの出力先にある5Eの74LS245(19)のOEが浮いています。これがカスタムの出力も引っ張っているのでしょう。

追いかけると5Aの74LS139(5)に辿り着きました。入力部分は来ているのに、DATA OUTPUT部分の(4)~(7)と(9)~(12)が全部浮いていました。故障しているのは明らかなのでチェックすることもなく交換します。出力の先が信号を引っ張っているとなると、COIN2が入りっぱなしだった『パロディウスだ!』の修理を思い出します。

これで直るといいなという期待を込めてスイッチオン。

ROMチェックも始まり起動しましたが、左半分が緑一色です。ビデオ関連は上ボードのはずなので調べていきましょう。

ソケット化もされているしSRAMでもチェックするかと思ったら脚が1本曲がっていました。ペンチで戻してあげます。

映像が出ました。本当にこれだけで済んで良かったです。

5面まで遊びましたが問題無かったのでこれで修理完了とします。『NEWラリーX』に慣れると難易度の高さに驚きます。

【作業内容】
・2147×2 追加
・74LS139交換
・2147の脚修復

ナムコ 『タンクバタリアン』 の簡易DC改造とJAMMA変換ハーネス作成

未チェックの『タンクバタリアン』の基板を預かりました。今までの経験からすると壊れているだろうなあと思いますが、JAMMA変換ハーネスを作成しないことには何とも言えません。

『タンクバタリアン』はAC駆動なので、JAMMAで動かす際にはDCで動くようにしなければなりません。つまり配線図にある「7V AC」と「12V AC」をどうするかです。

ネットにある回路図を見ると、C/3とD/4がダイオードD1/D2とトランジスタを通って+5Vになっています。ただE/5はダイオードを通らずにトランジスタに行っているのでここを利用します。ダイオード部分を飛ばすためにR1の裏にジャンパをし、+5VはE/5からのみ取ることで解決しました。

12Vの方は使っているアンプ(MB3712)の動作電源電圧が9~16Vであり、12Vにダイオードを噛ました所で動作すると判断したので特に何もしていません。

以上をまとめるとこちらの配線図となります。

そしてこちらが上記の配線図で作ったJAMMA変換ハーネスです。

予想に反して問題なく動作しています。たまにはこういうことがあってもいいとは思いますが拍子抜けでした。