D.R.KOREA 『アルカノイド』改造版『テトリス』の修理

起動しないタイトーのジャンク基板と書かれている基板を入手しました。基板はサイズと色からして『アルカノイド』ですが、ジャンパがありROMシールが純正ではないので、サウンドに『ウシャス』(MSX2)が勝手に使われている韓国『テトリス』のはずです。

よく見るとHコネクタ付近に「ウチャステトリス不動」と書かれたシールがあります。立ち上げると真っ白な画面でウンともスンともしません。

Z80のCLOCK(6)は来てたので、RESET(26)の波形を見てみると上下にパタパタしています。HIGH固定であるべきなので、ここがおかしいはずです。

『アルカノイド』は回路図があるのでそこからRESET信号を追いかけると、IC19の74LS08(8)→(9)→IC20の74LS04(8)→(9)→IC21の74LS393(8)→(13)=(6)→(1)と繋がっています。

74LS393(1)は見た感じ正常っぽいのでどうするか・・・と思っていたらZ80がアツアツでした。

ここまで熱くなるのはおかしいので、手元のZ80Bへと交換します。(この後ジャンパしたKABUKI CPUに交換)

Z80Bを交換して立ち上げると絵は出るようになりましたが立ち上がっていません。プログラムROMは問題なかったので、隣接するIC15のSRAMを調べてみましょう。

死んでましたので手元の6116と交換します。

画面の変化はありますが、起動しないというところは変わりません。気になるのでIC51,IC57,IC58のSRAMも調べてみます。

IC51のCXK5814Pのデータの波形がおかしいです。

外してチェックに掛けるとこれも! BAD !と出ました。ここまででZ80とSRAMが2個と中々の壊れ具合です。『ブラックドラゴン』の修理の時に買った2018があったのでそちらと交換しました。

まだ立ち上がりません。

Z80B→プログラムROM→RAMと流れているDATA BUSを回路図上で眺めつつ信号を追いかけると、IC27の74LS374(1)がどう見ても変です。

回路図上ではCATCHとあるので追いかけるとIC25の74LS155(4)に辿り着きました。手元に在庫があればニッパーで切り飛ばして新品を取り付けるのですが、74LS155は無かったので丁寧に外してICチェックに掛けます。

予想通り壊れていました。ICを注文し、妙に汚い基板をママレモンで洗ったので本日の分はこれで終了とします。

74LS155を入手したので取り付けましたが、特に変わりはありません。

今まで音量を0にしていたのですが、試しに音を出してみるとPSGの一音がノイズだらけでした。PSGを交換したところ『ウシャス』のエンディング曲が軽快に流れるようになりました。中々のジャンク具合です。

キャラROMの(2)がHIGH固定だったのが気になったので追いかけてみます。

IC50の74LS298(15)から出ていました。基板の状態が悪く綺麗に取り外し出来なかったので、ニッパーでぶった切り『ラフレンジャー』から74LS298を調達して付けてみます。しかし画面は変わらず真っ白。

片っ端から波形をオシロで調べてみるとIC87の74LS74(9)の波形がパタパタしていました。ここを交換すると症状はなくなりました。

4Q以外はLOW、CLEARと4QとCLOCKはHIGH固定になっている74LS273がどうも怪しいと睨んでいます。ただCLEARはZ80のリセットと同じなのでHIGH固定で正解、CLOCKは交換した74LS155(10)から来ているので、ここもどうなんだろうといったところです。外してみると絵が出てきました。

この『テトリス』は配線が独自です。わざわざこれ用にハーネスを作るのも勿体ないので、PSGの裏から出ている配線と入手した配線図を元にタイトー配列にしていきます。

1Pと2Pの左右はそのままだと『アルカノイド』の信号が出ていて入りっぱなしになるので、カッターでパターンを切りました。

ふと思い立ちIC51のSRAMを外して立ち上げた時の挙動を見ようとしたら、ゲームが問題なく立ち上がりました。

回路図を見るとキャラと背景のデータバスに絡んできますが、外すと動くというのは想定外でした。流れている音楽と合わさって「そ ん な  あ ほ な !?」という気分に包まれます。

他の画像を見てもIC51のSRAMは付いているので、何故この基板ではSRAMが不要なのかが分かりません。ただ現状立ち上がって動いているのでヨシとします。あの壊れていたSRAMはあれで良かったのかもしれません。

入力が左右ひっくり返っていたので、上の図を元に再配線しました。

1P2P共に問題なく遊べました。ゲーム中のBGMはウシャスの2面であるDUNHUANGの曲が流用されているのでそれだけで満足です。コナミのMSXといえばSCCという印象が強いですが、『ウシャス』や『シャロム』のような心洗われる美しいPSGサウンドも捨てがたいです。個人的には両タイトルとも『シャロム』の箱入り娘以外お気に入りですが、ゲームがそれぞれ癖があるってところが足を引っ張っているのでしょうか。 

【作業内容】
・Z80B交換
・SRAM交換x2 (内一つは不要?)
・74LS155交換
・AY-3-8910A交換
・74LS74交換
・74LS161交換(替えたら同期周りが安定した)