インテレビジョンのビデオ出力改造

日本国内販売版のインテレビジョン一式を入手しました。中を見てみたところ、保証書など細かいものを除くと大体揃っているかと思います。

IntelligentとTelevisionが合体した造語なので発音は「インテリビジョン」と呼ぶのが近いですが、ここは日本なのでバンダイが採用した「インテレビジョン」と記載しています。

アメリカでは1980年、日本では1982年に発売されたゲーム機なので、映像と音声の出力はRFのみです。今日の環境で気軽に遊びたいところですので、海外では割とメジャーになっているビデオ出力改造を行ってみます。定型文のようですが全て自己責任でお願い致します。

こちらがインテレビジョン本体です。

ひっくり返して黄色い丸で囲んだ部分のネジを取り外します。この時はネジがなくならないように、灰皿なり小物入れに入れて管理するといいでしょう。私は蓋が付いていて視認性も高いプラスチックケース SK-5が便利なので使っています。秋月電子で80円でした。

次にコントローラー受け皿のネジを取り外します。

受け皿を取り外したところです。この銀色のシールドケースの中にメイン基板が入っています。取り出すために、電源のコネクタx2とコントローラーコネクタx2を取り外します。

電源コネクタとコントローラーコネクタの接写です。この手の部品を外す前に写真に収めておくと正しく戻しやすいです。

このシールドケースですが、外れないようにハンダで止めてあります。ハンダ吸い取り機や吸い取り線、マイナスドライバーを使ってなんとか取り外して下さい。片側だけハンダされているものは楽なのですが、全体的にがっつりされているものは根気よくやりましょう。

こちらはシールドケースを外した中身です。写真手前の小さな箱がRFコンバーターとなります。

eBayで割と安く入手可能な「COMPOSITE MOD」と言われる基板です。写真だと左側に位置する4点(+5V IN、VIDEO IN、GND IN、AUDIO IN)を中の基板に直接ハンダしていきます。

接続場所は画像を参考にして下さい。GNDは電源コネクタの2番目にあり、ハンダが汚いと1番目と接触する可能性があります。接続後はテスターで1番や3番と導通していないことを確認して下さい。基板右側の74LS00と書かれているICは7番目がGNDで14番目が+5Vなので、接続されたMODと74LS00の該当箇所が導通してるかを確認してみるのも良いかと思います。

接続したらMODを固定して出力側の配線です。今回は両面テープとスポンジを組み合わせて貼り付けています。

RCAコネクタの黄色にVIDEO OUTとGND OUTを接続し、白コネクタにはAUDIO OUTとGND OUTを接続します。今回は本体に穴を開けたくなかったので、電源部分の穴からRCAコネクタを出すことにしました。

あとは元に戻して組み上げれば完成です。動作チェック用に買ってみた『SKIING』を起動してみましょう。

コンポジット端子からちゃんと映像が出ました。

ちゃんと音声も出力されてコントローラーも反応しています。未チェック品を購入しましたが、完動品のようなので良かったです。これにてビデオ改造は成功ですので、適当に面白そうなソフトをいくつか遊んでみましょう。

【STAR STRIKE】

『スターウォーズ』のクライマックスシーン(プロトン魚雷投下のアレ)を再現したゲームです。5カ所ある穴に爆弾を投下すると敵の惑星が破壊されてステージクリア。ププププという音が聞こえたら地面スレスレで爆弾を連打、対空ショットを敵に当てると水色になって撤退するのでその間は時間が稼げるの2つを覚えればクリアできるかと思います。

1982年で最も売れたインテレビジョン用タイトルで、80万本売れた大ヒット作と書かれているだけあり、中古市場での出回りもかなりのものがあります。細かい作り込みも見られる力作なので、インテレビジョンを持っていたら遊んでおきたいゲームだと思います。

【NEW DEMON ATTACK】

ATARI2600で出た『フェニックス』のクローンゲームのインテレビジョン版です。コンバーターの都合なのか何らかの理由で正常に色が出ていません。ATARI2600版の方が効果音が不気味な感じが出ていたのでそこはATARI版の勝ちかと思います。

サウンドでは負けますが、インテレビジョン版にはATARI版に存在しなかった基地が実装されています。『フェニックス』のパチモノ度が急上昇していますが、そこはインテレビジョン版ならではのアドバンテージなので堪能しましょう。

【ADVANCED DUNGEONS & DRAGONS】

弓矢を持ったプレイヤーを操作して、ダンジョンを進みつつ王冠を集めるのが目標のRPGです。少しずつ視界が広がるダンジョン内で弓矢や船、斧、鍵を集めて先に進みます。弓矢の発射方向にテンキーを使うだけでなく、拾う、弓矢の本数確認、はしごを登る(脱出)、走るがそれぞれボタンにアサインされているのでそことなく複雑です。

プレイヤーの脚のアニメーションがやたらなめらかであったり、やたら多いボタンといったところに洋パソゲーらしさを感じられます。海外での評価は高く、インテレビジョンの名作としてこのタイトルが挙げられることも多いです。このテキストを書いている時点では全然安いので、インテレビジョンをお持ちであったらコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。

SNK MV-1F (MVSマザー) の修理

電池部分が腐食しており、音が出ないジャンクのMV-1Fマザーを購入しました。安いときは1000円だったネオジオマザーも年々相場が上昇し、電池由来の故障も比例するように増えてきています。電池由来の故障とは一回どういったものなのか実際に見てみましょう。

こちらが届いたMV-1Fマザーです。カートリッジを差し込む部分の下に電池があるので、まずはこのガワを取り外します。電池部分は写真だと右上に位置しています。

写真の通りバックアップ用の電池が粉を吹いて周辺をズタズタにしています。付いていてもいいことがないので、電池を取り外します。

バックアップ部分の裏は、両面テープでスポンジが張付いています。半田付けに邪魔なので、今回はシール剥がしを使って剥がしました。

綺麗に剥がせたので、早速電池を取り外しましょう。

電池を取り外しました。見た限り電池左と下のパターンがかなり痛んでいます。この粉をエタノールで清掃してみます。

大分綺麗になりましたが、そこまででは・・・といった状態です。電池すぐ下のSRAMはかなり被害を受けています。脚も大分腐食しており、そのまま使い続ける理由もないと判断したのでSRAMを取り外してみました。

スルーホールが抜けずに取り外すことができました。ここまで来たら洗浄しても大丈夫だろうと判断し、ママレモンと刷毛を使い洗浄。この日の作業はここで終了です。

ママレモンで洗い、半日自然乾燥させた基板です。

大分綺麗になったので、ソケットを付けて6116を装着します。これで当初の状態に復帰となります。

立ち上げると、確かに入力を含め「サウンド以外」の動作は問題ありません。Webにある回路図を元に絞っていきましょう。

サウンドはこの丸で囲まれた部分で主に動いています。電池周辺(右上)とそうでない部分(左下)部分を繋いでいるYM2610→YM3016の間を調べてみます。

上がYM2610(64)のクロック出力、下がYM3016(5)のクロック入力です。波形が一致していないので、断線がある模様です。直結すると音が出るようになりましたが、正常な音声が出力されていません。

断線が疑われているSRAM上のパターンを見ていきます。回路図を見るとSRAMのデータ(9)~(17)がボロボロのパターンを通ってカスタム(NEO-C1)の(74)~(83)に繋がっている模様です。

テスターで当たってみると6116の(13)(14)(15)が断線している模様です。カスタムの上に直ハンダするのも気が引けたので、導通していないスルーホール間を線で繋ぎ、グルーガンで固定しました。その右のジャンパは何故かGNDが切れてたので繋いだものです。

3つのパターンを繋ぐと正常な音声が再生されました。ステレオハーネスを作成し、音声出力を確認したので、これにて修理完了とします。

【作業内容】
・電池の取り外し
・基板の洗浄
・SRAMの交換(おそらく不要)
・パターン切れx5の修復

アルファ電子 『タルボット パート2』の修理

アルファ電子初期のタイトルである『タルボット パート2』の基板をeBayで購入しました。コネクタ部分に直付されている上に未チェックでしたが、なんとかなると判断し思い切って購入してみました。

出品説明文には「多分『タルボット』」と書かれていましたが、「ALPHA ELECTRONICS」と印字されている2枚タイプの基板は『タルボット』一択のはずです。(画像は出品写真より

ひとまず直ハンダを外し、アルファスポーツ系ハーネスを挿して通電するも起動せず。よく見るとC30のコンデンサが取れているので、これが原因かもしれません。25V470μF(本来は16Vのはず)を取り付けると起動しました。

起動して絵は出ましたが、ROM11H(プログラムROM)のエラーが出ています。カスタムチップ(ALPHA 8201)を抜き差しするとエラープログラムROMの位置が変わるので、カスタムのソケット不良でしょう。

抜いてみるとソケットの端子部分がボロボロでした。

カスタムを交換するとそれらしい画面が出てフリーズしました。カスタムの次に怪しいプログラムROMの挿し直しで症状が変わるので、次はプログラム部分のソケットのチェックです。

ROMデータの確認もあるので片っ端から外してみると、10G/10H/10Iのソケット端子がボロボロでした。起動が怪しいのはこの3つでしょうが、この際まとめて交換します。

基板だけでなく長年使っていたハーネスにも問題がありました。症状の切り分けのため、ソケット交換済みの『タルボット』は『チャンピオンベースボール』筐体にて動作を確認しました。

原因はソケットだけだったようで動作も安定しています。そして届いた基板は『タルボット パート2』であることが判明しました。猟犬タルボットは不在なので、何が『タルボット』なのか分からないゲームになっています。

JAMMA変換ハーネスを作り直しました。『タルボット』以外にも『チャンピオンベースボール』や『エキサイティングサッカー』でも使えます。一番ボタン数が多い『チャンピオンベースボール』準拠で作るのがいいでしょう。

普段の環境でも問題なく動くようになりました。吸い出してみた所、プログラムROM1~5(三菱ROMシールに手書き部分)とキャラROMの7,8が差分の模様です。PROMは『タルボット』と同じ。

【作業内容】
・ソケット交換
・ハーネス再作成

ミッチェル 『ポンピングワールド』 (ETC)の修理

『ポンピングワールド』のETC版である『PANG!』の基板を入手しました。ハドソンのパソゲーである『キャノンボール』のパワーアップ版といえるゲームです。

ROMシールはファルコン製で、カスタムCPU部分に「PONPING WORLD」と書かれているブラックボックスが載っています。気になるROMの中身は一般的に出回っている『PANG!』と同じでした。

ブラックボックスの中身はカプコンクイズのROMキットと同様でした。”POMPING”ではなく”PONPING”と書かれているのが少し謎です。

FB40、16V100μFコンデンサや抵抗(0.1μF)が抜かれていたので、電池切れ→部品取りとなっていたのかと思われます。FB40はジャンクのCPS1から移植、コンデンサと抵抗は新品を付けてみます。

取り外れていると思われる部分の部品を取り付けます。動作チェック用のInfinikey KABUKIを取り付け、ひとまず電池切れ問題を解決した状態で立ち上げてみます。

写真の真っ白な画面のまま止まっています。よーく画面を見ると0に混じって「RAM ERROR」と出ています。ゲームが正常に立ち上がらないということは、プログラム周りのSRAMが死んでいるのではないかと推測します。

9GのSRAM(HM6116LK-90)の上から手元の6116を被せると立ち上がりました。動作品のICを上から被せるのをピギーバックと海外では言うそうです。

該当のSRAMを取り外し、手元のSRAMを取り付けます。元の速度が90nsなので同等のものにしたいですが、在庫がなかったので45nsのものを取り付けています。遅いよりはマシでしょう。

無事に立ち上がりました。

【作業内容】
・Infinikey KABUKIの取り付け
・C41のコンデンサ(25V100μF)の取り付け
・C42,C43の抵抗(0.1μF)の取り付け
・9GのSRAM(HM6116LK-90)の交換

【訃報】 ドラッキーちゃん逝去のお知らせ

当社設立以前から愛猫としてその愛くるしさを振りまいてきた駒林ドラッキーちゃんが、去る2022年3月18日(金)に6歳にて逝去致しました。ここに生前のドラちゃんを可愛がって頂いたことを深く感謝すると共に、謹んでお知らせ致します。

『ドラネコシアター リプライズ』やBEEPの景品カードでドラちゃんを描いて頂いた餅月あんこ先生、そして『ドカフリ』に埋め込まれた写真を見て頂いたみなさまなど、ドラちゃんを認識して頂いた様々な方へ改めましてお礼申し上げます。

ドラちゃんが生きた証をこのサーバーある限り残していきたいと思います。

ワンダーフェスティバル2022冬で開催された井上淳哉先生サイン会に協力しました

RCベルグ様の依頼で、ワンダーフェスティバル2022冬にて『エスプレイド』の生みの親である井上淳哉先生のサイン会を行う運びとなりました。2018年~2019年に『エスプレイドΨ』を開発していたご縁でこうしてお仕事を頂きありがたい限りです。

弊社は井上先生のスケジュール調整、サイン会の企画、プレスリリースの作成、当日のオペレーション全般を担当しました。

こういったご時世にも関わらず会場までお越し頂いた皆様、ご依頼頂いたRCベルグ様、そして快くご対応頂いた井上先生へ、この場にて恐縮ですが深くお礼申し上げます。

タイトー 『ナイトストライカー』 のJAMMA変換ハーネス作成

『ナイトストライカー』のJAMMA変換ハーネスの作成依頼が来たので作成しました。

ひげねこ堂さんがアップされている配線図を見ながら配線すれば大丈夫ですが、実際に作った上でメモしたことをこちらにも記しておきます。
※テスターで導通を確認して配線してください。また全て自己責任でお願いします。

・アナログレバー
安くて配線が楽だと判断したので、15pin2列のゲームポート端子を搭載しているアナログジョイスティック(今回はELECOMのJC-800)を使用しました。レバーを分解し、配列を調べて以下に配線します。

<基板>  <ゲームポート端子>
1P AD(X)  →  3(Ax)
1P AD(Y)  →  6(Ay)
1P TRIGGER → 2(A1)
GND    →  4(GND)
+5V    →  1(Vcc)

※1P SHOT、COIN、STARTはJAMMA側に配線
※SERVICEは面セレクトの裏技に使うのでJAMMAの2P STARTに配線

またアナログ信号部分に繋がっているボリュームは入力と+5Vしか繋がっていないので、空いている端子にGNDを配線しています。実際にゲームを遊んでみて、入力方向と自機の移動が逆なら+5VとGNDを入れ替えます。

1P ADJ(X)と+5VとGND、1P ADJ(Y)と+5VとGNDをそれぞれボリュームに接続します。JC-800側とこのボリュームの両方でキャリブレーションを行う事ができますので、移動に関しては大分調整しやすいと思います。

・その他いろいろ

タイトー基板でおなじみHコネクタは現在秋葉原では買えないので、モノタロウで10個入りを注文しました。そして音声はSPEAKER LとSPEAKER RをそれぞれRCA端子に配線(今回は延長ケーブルでスピーカーまで接続した)、映像の5pin(Vコネクタ)はジョイスティック用ハーネスが余っていたのでそれを流用しました。

オルカ 『リバーパトロール』の修理 x2

「オルカの何か」として『リバーパトロール』の基板をお預かりしました。

コンデンサ(16V470μF)がもげており、何らかの衝撃があったものと思われます。JAMMA変換ハーネスを作成し、もげたコンデンサを25V470μFのものと交換すれば動く・・・と思ったら、そうは問屋が卸さず起動しませんでした。

交換したコンデンサの液漏れが激しかったので、下ボードとコネクタ付近のコンデンサ(16V100μF)を25V100μFのものへと交換したところ、起動するようになりました。 数もそこまで無かったので、ついでに残りも全交換して作業完了です。

【作業内容】
・JAMMA変換ハーネス作成
・コンデンサ全交換

もう1枚海外から未チェック品として購入した『リバーパトロール』も同時期に届いたので見ていきます。先ほどの基板と比べると上ボードが違いスッカスカなので、おそらくはオルカ版『クレイジーコング』の流用ではないかと思います。

泥だらけ錆だらけソケット一部破損とかなりの状態だったので、ママレモンで一度洗いました。ひしゃげていたソケットを交換した上で通電すると、1枚目と同じ画面が出て起動しません。前例に倣い怪しかったコンデンサを交換すると起動しました。ただ一部スプライトに色が付いていない不具合が起きています。

写真では溺れている人に色が付いていませんが、他にもドラム缶やワニも真っ白になっています。色々見ていくと5E,5Fの2115周りがスプライト関連なので、その近辺の波形を見ていきます。

お隣にある5D(93422PC)の波形が明らかにおかしかったので、チェック機で調べると予想通り「RAM IC: ! BAD !」の文字が出ました。

ということで、注文した新品の93422PCへと交換。

交換するとスプライトに色が付きました。念のため残りのコンデンサも交換して修理完了です。

【作業内容】
・『リバーパトロール』輸入
・基板洗浄
・ソケット交換
・JAMMA変換ハーネス作成
・コンデンサ全交換
・5D(93422PC) 交換