任天堂 『ドンキーコングJR.』 の修理

画面同期が乱れる『ドンキーコングJR.』を預かりました。『ポパイ』を修理した時に作ったJAMMA変換ハーネスがあるので絵出ししてみましょう。

映像が大変なことになっています。こういう時は基板にあるボリュームがダメになっている場合が多いはずです。

押えると同期が安定しました。

ボリューム不良なので『スペースインベーダー パートII』の時に買った50kΩのボリュームを付けました。

ボリュームの向いている方向が逆なので、その後オリジナルに近いボリュームへと交換しました。複数買ったので(壊れないに超したことはありませんが)また任天堂基板のボリュームが破損しても大丈夫です。

同期問題が解決したら次は立ち上がらない問題です。

メインCPU近くにある6Aの74LS245の波形が怪しいですが、交換しても特に変わりませんでした。

起動に関するということでZ80の片側ソケットを交換しましたがこちらも変化はありませんでした。

メインプログラムがコケているのは間違いないので、おまじないのようにプログラムROMのソケットを交換しましたがこちらも変化はありませんでした。

6Aの74LS245の怪しい波形はそのまま下のビデオボード5Sの74LS245と1Sの74LS245に行くので、上ボードのことは一旦忘れてこっちを見てみることにします。

2Rの2114の出力がHIGH固定になっていました。流石にこれはおかしいと思い、取り外してチェックするとBADと出ました。

これで何かが変わっていることを信じて立ち上げると真っ白な画面へと遷移しました。

上ボードのSRAMx6は波形を出しているように見えるので、回路図を片手に色々とICをチェックするもことごとく変化がありません。

「立ち上がらないがCPUとプログラムROMは無罪」となると、ここはやはりSRAMを疑うべきではないかと判断しました。全て直付けですがなるべく丁寧に取り外していきます。

早速4Aの2114がBADと出ました。新品に交換しましょう。

この状況で立ち上げると起動画面らしい絵が出てきました。まだ正常に起動しないということは、他の2114不良の可能性が出てきます。ピギーバックをしたら3Cのみ変化が激しいので取り外してみます。

こちらもBADがでました。2114を新品へと交換します。これで直って欲しいという期待を込めてスイッチオン。

立ち上がりました。色が反転しているのはハーネスに反転回路を付けているためです。

この基板用に新規にJAMMA変換ハーネスを作成しました。基板にアンプが付いているのでシンプルな作りです。

問題無く色も音も出ています。

1周クリアまで遊びましたが問題ありませんでした。ファミコン版と比べるとOPデモや中間デモが入っているので豪華に感じられます。それと4面クリア後にマリオが生きていることも驚きです。マリオが死んだら2周目はありえないので、ドンキーコングに蹴飛ばされて逃げる演出は正しいですね。

【作業内容】
・ボリューム(50kΩ)交換
・2114×3交換
・JAMMA変換ハーネス作成