任天堂 『スーパーパンチアウト!!』の修理

壊れているから見て欲しいということで『スーパーパンチアウト!!』の基板を預かりました。

臨場感を出すために2画面並べてみましたが
・ボイスは出るが曲が流れない
・上画面が明らかにおかしい
といった状況です。曲が流れない問題から着手しましょう。

曲を出しているのは2A03の(1)(2)というのは『VSホーガンズアレイ』の時に調べたのでまたチェックします。どうも音が出ていないようです。ちなみにコインを入れて放置すると曲が鳴りっぱなしになるのでチェックの時には便利です。

予備で持っていた2A03へと交換したところ、(1)(2)から音が出ました。ただスピーカーへと音が出ないのでコンデンサ→LM324→抵抗と追いかけていきます。

音声はエッジコネクタ(51)と(52)から出ていて、どちらかがボイス、どちらかが音声に割り振られています。分ける意味もないのでまとめていたのですが、半田不良で音声の方が接続されていないというオチです。熱圧着チューブでまとめたので今後そういうことはないでしょう。

次は上画面の色化けについて調べていきます。ちょっと放置してたらゲーム&ウォッチみたいなロッキー熊五郎が出てきています。CHP1-01-BAKを動作品と交換すると症状が無くなったので、この基板に原因があるということでしょう。

こういう時はPROMだろうと思いオシロで調べてみると6E/6F/7Fの(1)(2)(3)(15)の波形が浮いています。回路図で調べると6Kの74LS157の出力から全て出ていました。

取り外してチェックする必要も感じられないので、切り飛ばして新品へと交換しました。

ロッキー熊五郎も色鮮やかに出てきたので直ったはずでしょう。『スーパーパンチアウト!!』や『PlayChoice-10』用に2画面環境を作ったのでそちらで映して動作確認します。

上下の画面を映すには反転基板x2が必要な上に、別に上画面はなくてもゲームが遊べるというのがなんとも言いがたいです。

よく見ると勝利ポーズのこの時だけ、右グローブの端の色が化けています。気になるので調べていきましょう。

主人公に関するROM周りはこの4つです。6N「a」とあるのは2764互換のMASK ROM、6N「b」とあるのは2564のEPROMでした。

CHP1-V 6Paを吸い出すとエラーの数が多いので、これがキャラ化けの原因かと思いきや違いました。(1)(27)はエラーが出ても問題無いので、この2つだけエラーが出たら挿入テストをスキップして吸えばOKなはずです。

ここから暫く2764タイプと2564タイプのボードの違いについて調べたり試行錯誤していても進捗はなく、ダメ元でROMテストに入ったところ8FにNGが出ました。

動作品から吸い出した8Fのデータを焼き直します。

ROMテストもOKと出ました。これで直っている可能性はあるので、早速世界のチャンピオンを殴りに行きましょう。

直りました。キャラ化けなのにプログラムROMのエラーという珍しいと思う結果でした。ROMチェックがあるならとりあえず掛けてみるというのは大事ですね。

また1周クリアまで確かめましたが違和感はなかったので修理完了でしょう。『スーパーパンチアウト!!』はお気に入りのタイトルなので、自分の手で直せて良かったです。ニンテンドーDSが発表された時に移植が出るかと思ったけど、まさか基板を買う方が早いとは思わなかったあの日。

【作業内容】
・2A03交換
・74LS157交換
・プログラムROM焼き直し